10月10日に行われた第22回The Darkトーナメントは、参加者10名によるコモン・スタンダード、スイス式4ラウンドの後、白赤緑上陸ビートダウンを使用したsatto25さんの優勝で幕を閉じました。
satto25さん、優勝おめでとうございます。


■大会概要

日時: 09年12月19日(土)20:00~。
フォーマット: コモン・スタンダード。
トーナメント形式: スイス式4ラウンド。


■環境解説

ゼンディカー環境で行われた前回のThe Darkトーナメントで黒赤ビートダウンが優勝した事もあって、やはり《稲妻》擁する赤の速攻デッキをメタの中心に置かれた方も多い事でしょう。
ゼンディカーが環境に加入してしばらく経ったとは言え、まだまだコスト・パフォーマンスの高いアラーラ再誕の多色カードが幅を利かせている現状です。

最速を目指せば、《境界石》のサポートを受けた《刃》シリーズからのビートダウンを目指す事になりますが、環境には見事に対策カードが用意されていました。
火力となれば《稲妻》と《噴出の稲妻》8枚体勢が当たり前になる中、それらで除去できない《器用な決闘者》や《ヴィダルケンの異国者》が攻守の要となってコントロール・デッキを支えます。

この赤系ビートダウン対白青コントロールの図式が前回の対立構造であり、それを見越して回避能力持ちクリーチャーを多数採用し、防御網を掻い潜ってダメージを通す事に特化したのが前回の優勝デッキ、黒赤ビートダウンでした。
前マジック2010環境で、ビートダウンはタフネス3以上に特化して《器用な決闘者》らを出し抜く事に成功しましたが、目的は同じながら全く別のアプローチを見せてくれました。

また、コモン・スタンダード愛好家なれば、そのコミュニティであるPDCMagic.comにて新デッキを探す方もいるでしょう。
ゼンディカーのメカニズムである上陸に特化し、巨大化したクリーチャーで蹂躙するナヤ・ビートダウンや、ETB能力持ちクリーチャーを多数採用し、アドバンテージで相手を圧倒する新しい形のコントロール・デッキ等、まだまだコモン・スタンダードは予断を許しません。

どこまで環境を読み切る事ができるか、トーナメントの終わりに、一つの到達点を見る事ができるでしょう。


■大会結果

http://www4.atpages.jp/kakoiku/competition.php?lang=Japanese&id=396

20:00 受付締め切り。
20:12 第1ラウンド開始。
20:58 第2ラウンド開始。
21:33 第3ラウンド開始。
22:12 第4ラウンド開始。
22:43 順位発表、賞品授与、優勝者インタビュー。
23:22 閉会。


■主催者雑感

参加者10人で行われました今回のトーナメントでは、環境の基本構造である白青VS赤を踏襲しつつも、やはり上位に新しい動きを見る事ができました。
デッキ分布は、白青系コントロールが4人と最多、その中では白青黒のエスパー・コントロールが2人、白青が1人、白青赤が1人という内訳になっています。
ビートダウンは白赤緑の上陸ビートダウンが最多で3人、黒赤緑のジャンド・ビートダウンが1人、黒赤ビートダウンが1人、白黒赤のビートダウンが1人です。
コントロール4人に対してビートダウン6人と、それなりに拮抗を見せています。

しかし、最終的に白赤緑の上陸ビートダウンが1位2位を占め、コントロールはその後塵を仰ぐ事となりました。
また、順位以上に、1位2位は獲得マッチ・ポイントにおいても12ポイントと9ポイントで他を凌駕しており、3位4位の白青黒はマッチ・ポイントが6ポイントのタイブレークと、見逃せない結果となりました。

1位はsatto25さんの白赤緑上陸ビートダウン。
まさに上陸に特化したデッキで、スタンダードでもメジャーな《ステップのオオヤマネコ》《板金鎧の土百足》の2枚に加えて《冒険者の装具》まで4枚フル投入されており、相手のブロッカーをサイズで圧殺する事が可能です。
また、これまでにあまり見られなかったカードもかなりの数が採用されており、ここら辺は下記の優勝インタビューで解説していただく事ができました。
次回のメタの中心になり得る強さを持ったデッキです。

続いて2位も白赤緑上陸ビートダウン。プレイヤーはRag Manさんです。
アラーラ再誕の《刃》シリーズを採用して、satto25さんのデッキよりも速度を優先した形です。
その分、コントロール・デッキの壁で止まってしまう事も多そうですが、白青黒コントロールに2度当たり、2試合とも撃破されています。

3位はkakoikuさんの白青黒コントロール。
《意思切る者》が物語るように、前環境の「Dark Star」と呼ばれた墓地活用をアドバンテージの主軸に置くコントロール・デッキです。
ゼンディカーからは《コーの空漁師》のバウンス能力で《聖域のガーゴイル》を戻すギミックが加えられています。

4位はarthfingの白青黒アグロ・コントロールです。
kakoikuさんのものが純粋なコントロール・デッキであるのに比べ、こちらは軽クリーチャーを多めに採用しており、それらを出して打ち消し呪文を構えるクロック・パーミッションのようです。

軽さと強さを兼ね備えた上陸ビートダウンの登場で、メタはまた次の段階へ進んだと言えましょう。
これがゼンディカー環境のソリューションなのか、ここからまた新たな変化が生まれるのか、次回のThe Darkトーナメントは1月下旬を予定しています。
詳細が決まり次第、こちらのページで告知させていただきますので、またよろしくお願いします。


■優勝者インタビュー: satto25さん

-
優勝おめでとうございます。それでは、使用されたデッキ、その動きや活躍したカード等を教えて下さい。

satto25
赤緑タッチ白の上陸デッキでした。《冒険者の装具》が強かったです。
デッキはPDCMagic.comからコピーしたものですが、サイドを調整しました。《秘宝の破壊》と《枝分かれの稲妻》です。
アドバンテージを取りつつ致命的なカードになると考えていました。

《秘宝の破壊》は追放エンチャント2種(《未達への旅》と《忘却の輪》)に、《枝分かれの稲妻》は《コーの空漁師》を使うデッキに。
逆に、《地鳴りの揺るぎ》は採用しませんでした。
蘇生持ちの《ヴィティアのとげ刺し》をサイドに取った事で上陸系に強くなりましたので、《地鳴りの揺るぎ》は《器用な決闘者》専用となってしまうためです。

-
私は白青系コントロールを使っていましたので、《器用な決闘者》はタフネス3以上にかなりキツい印象を受けました。
《野生のナカティル》や《コーの空漁師》で普通に攻撃できなくなるのは、不勉強ながらびっくりしてしまいました。《ヴィダルケンの異国者》も同様に。

satto25
そうですね。《冒険者の装具》が付いたクリーチャーを《器用な決闘者》が止められない事もありました。
サイド・カードをメインに入れるようなメタなら、特に効果的なデッキ選択だったと思います。

-
これまでのビートダウンでは、後半の土地引きで失速してしまう事も多かったのですが、上陸はそこら辺もカバーしてますね。

satto25
クリーチャー1体残ってて、《フェッチ・ランド》が戦場にあると、《布告》みたいな効果があるんですね。

-
そう、《フェッチ・ランド》が戦場に残るんですよね。それで除去も難しくなります。

satto25
《フェッチ・ランド》の使い所が上陸デッキのカギだと思います。

-
それでは、今回の大会を通じて、印象に残っている対戦、プレイングを教えて下さい。

satto25
皆さん上手くて、どちらが勝ってもおかしくない試合ばかりでした。

-
同系を使用されて2位のRag Manさんと第3ラウンドで対戦されていますが、勝利の決め手は何だったんでしょうか?

satto25
《枝分かれの稲妻》で2対1交換取られたりとキツかったんですが、《ヴィティアのとげ刺し》が相手の《ステップのオオヤマネコ》を追い込んでくれた事ですかね。

-
やはり《ヴィティアのとげ刺し》でしたか。
《枝分かれの稲妻》は結構既知のテクニックなんですね。

satto25
《コーの空漁師》がかなり強いですから、それを他と同時に落とせる除去は強いですね。
上陸系2種(《ステップのオオヤマネコ》と《板金鎧の土百足》)を落とせる《ヴィティアのとげ刺し》もやり手でした。

-
《冒険者の装具》が飛行クリーチャーに付いたらウハウハだな、と思っていたものでしたが、逆にそこまでカバーされているとは……。

satto25
《冒険者の装具》が強いとも思っていたので、軽い《帰化》とどちらか迷ったのですが、《秘宝の破壊》だと逆転の目を出せる点があるので、それが最終的な差になりました。

-
最後に、このThe Darkトーナメントの運営方面について、何かご意見があればお聞かせ下さい。

satto25
2回目の参加でしたが、とても楽しく遊ばせて頂きました。
運営のスムーズで、とても良かったです。ありがとうございます。

-
今回は対戦結果を間違えたりと、ご心配おかけしました。
ありがとうございました。

(閉会後のフリー・トークに続く)

bunmei
satto25さん、質問しても良いですか?
白青黒コントロールのkakoikuさんと戦った時、単体除去がキツくなかったですか?
私も上陸ビートダウンでしたが、サイド後にクリーチャーを足せず、火力も抜けなかったので、タフネスに依存しない除去がキツくて……。

satto25
確かに確定除去はキツいですね。
《巨森の蔦》を効果的に使ったり、《未達への旅》なんかは《クァーサルの群れ魔道士》や《秘宝の破壊》でリカバリーしつつ、後は単体でもライフを削れるように《冒険者の装具》と《フェッチ・ランド》を温存ですかね。

bunmei
《秘宝の破壊》は強そうでした。

-
前環境の《上機嫌の破壊》だなぁ。

satto25
ポジションはそんな感じですね。

bunmei
僕のバージョンだと土地が21位枚しかなくて、《フェッチ・ランド》の温存が大変だったのですが。

satto25
私のは22枚でしたね。

bunmei
なるほど。後はプレイングの差ですかね。私は結構安易に生贄にしてましたので。
あの試合では《途方もない力》でのゲーム・エンドが印象的でしたが、戦場に《フェッチ・ランド》が3枚も残っていたから、kakoikuさんも相当やり難かったでしょうね。

satto25
《フェッチ・ランド》はスペルだと思って引いていました。
前回大会は《ぐらつく峰》を《フェッチ・ランド》より優先して構成していたんですが、今回は《冒険者の装具》も採用したので、《ぐらつく峰》より《フェッチ・ランド》優先に考え方を変えてみました。
今回は《放牧の林鹿》の強さをあまり感じられなかったので、それが次回の検討ですね。

bunmei
なるほど。そうすると、もうちょっと土地を入れても良さそうですね。
やっぱり《冒険者の装具》の修正は大きいですね。今回はクリーチャーの枚数が20枚程度だったので、引きが噛み合わない時がありました。

kakoiku
白青黒コントロールは、メインでは上陸デッキに勝てないのですが、《秘宝の破壊》でサイド後も勝てない事が分かりました。
《否認》3枚だけでなく、《アーシャへの捧げ物》も積まないと駄目っぽいですね。

-
メタは回っているんだなぁ。

bunmei
次回はどんなタイプが出てくるでしょうか?
思ったより《荒廃稲妻》を使ったデッキが見られませんでしたね。
kaedama3koさんのジャンドとか、見ていて強そうだったんですが。

-
やっぱり確定除去積めるデッキじゃないですかね。タフネス関係なく除去できる。
ただ、黒赤は、《器用な決闘者》1体出るだけで、ほとんどのクリーチャーが止まっちゃうんです。

satto25
《放牧の林鹿》をプロテクション(黒)の《ヴァレロンの異国者》に変えつつ、その上から《巨森の蔦》と《冒険者の装具》4枚積みでサポートですかね。
今回はサイドにも《ヴァレロンの異国者》を採用してないんです。

-
そうなんですか?

satto25
赤除去と白除去にはやられますので、黒単デッキがいないなら他に使えるカードがあると考えました。
例えば、黒赤系は《消しえる火》の方を優先したいですし、白黒系、特にエスパーであれば《秘宝の破壊》が最強だと思いまして。
インスタントなので、うっかりアタックに対して《未達への旅》なんかを割れれば、1対2~4まであります。

-
《上機嫌の破壊》もなんですが、何が強いってマナ補正に大抵《境界石》使ってるんですよね。
上陸デッキだと《全景》だから致命傷にならないのか。

satto25
最近は《冒険者の装具》も入ってるので、メインに入れても無駄にならないかもしれませんね。

(以下、まだ続く)


■トップ4デッキ・リスト

 優勝 satto25さん 白赤緑ビートダウン

4 《冒険者の装具/Adventuring Gear》
4 《噴出の稲妻/Burst Lightning》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
4 《野生のナカティル/Wild Nacatl》
4 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《板金鎧の土百足/Plated Geopede》
2 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
2 《途方もない力/Colossal Might》
4 《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》
4 《放牧の林鹿/Grazing Gladehart》

4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
4 《ナヤの全景/Naya Panorama》
2 《ぐらつく峰/Teetering Peaks》
6 《森/Forest》
4 《山/Mountain》
1 《平地/Plains》

サイドボード

1 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
3 《マグマのしぶき/Magma Spray》
2 《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》
3 《枝分かれの稲妻/Branching Bolt》
4 《消しえる火/Quenchable Fire》
2 《秘宝の破壊/Relic Crush》


 準優勝 Rag Manさん 白赤緑ビートダウン

4 《冒険者の装具/Adventuring Gear》
4 《野生のナカティル/Wild Nacatl》
4 《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》
4 《板金鎧の土百足/Plated Geopede》
4 《バントの信刃/Bant Sureblade》
4 《ジャンドの斬刃/Jund Hackblade》
4 《途方もない力/Colossal Might》
3 《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》
3 《砕土/Harrow》
2 《火荒の境界石/Firewild Borderpost》
2 《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》

4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
3 《ナヤの全景/Naya Panorama》
6 《森/Forest》
5 《平地/Plains》
3 《山/Mountain》

サイドボード

4 《未達への旅/Journey to Nowhere》
4 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
3 《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》
4 《枝分かれの稲妻/Branching Bolt》


 第3位 kakoikuさん 白青黒コントロール

1 《陽の泉の探検/Sunspring Expedition》
2 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《未達への旅/Journey to Nowhere》
4 《急使の薬包/Courier’s Capsule》
3 《本質の散乱/Essence Scatter》
3 《否認/Negate》
1 《破滅の刃/Doom Blade》
4 《器用な決闘者/Deft Duelist》
4 《苦悶のねじれ/Agony Warp》
2 《魂の操作/Soul Manipulation》
4 《意思切る者/Architects of Will》
4 《聖域のガーゴイル/Sanctum Gargoyle》

4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
4 《エスパーの全景/Esper Panorama》
8 《島/Island》
5 《平地/Plains》
3 《沼/Swamp》

サイドボード

4 《影餌付け/Shadowfeed》
3 《破滅の刃/Doom Blade》
4 《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》
4 《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》


 第4位 arthfing 白青黒アグロ・コントロール

4 《見栄え損ない/Disfigure》
4 《本質の散乱/Essence Scatter》
4 《未達への旅/Journey to Nowhere》
4 《コーの飛空士/Kor Aeronaut》
4 《バントの信刃/Bant Sureblade》
4 《エスパーの嵐刃/Esper Stormblade》
4 《器用な決闘者/Deft Duelist》
2 《妨げる光/Hindering Light》
3 《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》
3 《魂の操作/Soul Manipulation》
4 《霧脈の境界石/Mistvein Borderpost》
4 《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》

7 《平地/Plains》
5 《島/Island》
4 《沼/Swamp》

サイドボード

3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
3 《破滅の刃/Doom Blade》
3 《否認/Negate》
2 《妨げる光/Hindering Light》
1 《ヴィダルケンの異国者/Vedalken Outlander》
3 《脳噛みつき/Brainbite》


 順位と使用デッキ・タイプ

5位 oryzaeさん 白黒赤ビートダウン
6位 bunmeiさん 白赤緑ビートダウン
7位 pattsuxanさん 白青赤コントロール
8位 kaedama3koさん 黒赤緑ビートダウン
9位 Kaaneruさん 黒赤ビートダウン
10位 M2panakinさん 白青アグロ・コントロール


■謝辞

ご参加いただいた皆様。

賞品を提供してくださった皆様と、授与。

 bunmeiさん → Rag Manさん
《エメリアの天使》Foil版、《霧深い雨林》Foil版、《巨森、オラン=リーフ》Foil版。

 kakoikuさん → kakoikuさん
マジック2010ブースター2つ

 M2panakinさん → arthfing
《ジュワー島のスフィンクス》2枚、《失われた真実のスフィンクス》2枚。

 pattsuxanさん → Kaaneruさん
《硬鎧の群れ》2枚、《ゴブリンの先達》Foil版。

 satto25さん → bunmeiさん
《大貂皮鹿》、《包囲攻撃の司令官》。

 Rag Manさん → pattsuxanさん
《新緑の地下墓地》

 oryzaeさん → kaedama3koさん
《エメリアの盾》

 Kaaneruさん → oryzaeさん
《霧深い雨林》

 kaedama3koさん → M2panakinさん
《解呪》プロモ・Foil版、《稲妻のらせん》プロモ・Foil版。

 arthfing → satto25さん
《大渦の脈動》

司会進行
arthfing

賞品管理
kakoiku

資料作成
kakoiku、arthfing。

スイス・ラウンド成績管理支援ツール
マジック・サポート
http://www4.atpages.jp/kakoiku/index.php?lang=Japanese

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