4月10日に行われた第25回The Darkトーナメントは、参加者11名によるコモン・スタンダード、スイス式4ラウンドの後、白赤緑上陸ビートダウンを使用したarthfingさんの優勝で幕を閉じました。
arthfingさん、優勝おめでとうございます。


■大会概要

日時: 10年4月10日(土)20:00~。
フォーマット: コモン・スタンダード。
トーナメント形式: スイス式4ラウンド。
マッチの構成: 2本先取制、持ち時間30分。


■環境解説

ゼンディカーで登場した上陸メカニズムは、低マナでクリーチャーが規格外サイズにするとあって、コモン・スタンダード環境で猛威を振るう事となりましたが、あまりにも存在感を示し過ぎたためか、ワールドウェイク参入直後の第24回大会では、除去呪文を大量に搭載した黒赤の波に飲まれる事となりました。

新しい黒赤デッキを支えたのは、ワールドウェイクのカード《焼尽の猛火》。
バーン型のコントロールは、呪文をクリーチャー除去に使用すると相手のライフを詰められない構造的な弱点がありましたが、両方の役割をこなす高効率の火力とあって、活躍が目立ちました。
また、比較的大きなクリーチャーを速攻付きで繰り出せる各種《ゼンディコン》も活躍しています。

上陸一強から、呪文主体の除去コントロール・デッキが台頭したとなれば、そこからまた新しいメタ・ゲームが回り出すのは必然です。
ビートダウンはコントロールを克服する事ができるのか、海外の大会で見受けられる除去の効かない《方解石のカミツキガメ》のデッキは現れるのか、はたまた全く新しいデッキの登場は?
予測の付かない中での第25回The Darkトーナメントとなりました。


■大会結果

http://www4.atpages.jp/kakoiku/competition.php?lang=Japanese&id=503

20:00 開会式と大会説明。
20:12 第1ラウンド開始。
20:50 第2ラウンド開始。
21:36 第3ラウンド開始。
22:21 第4ラウンド開始。
23:08 順位発表、賞品授与、優勝者インタビュー。
23:41 閉会、賞品授与完了。


■主催者雑感

前回大会から引き続いてのワールドウェイク環境ですが、ワールドウェイク発売からエルドラージ覚醒までの間が3ヶ月しかなく、ここにMagic Onlineでのリリース・イベントや紙製プレリリースを挟むと正味2ヶ月。
環境2回目にして最後のコモン・スタンダード大会となります。

上陸デッキ一強のゼンディカー環境から、前回は黒赤の除去コントロールやビートダウンが台頭しました。
上陸デッキは個々のカードのポテンシャルが高い反面、額面上のアドバンテージを得る事が苦手であり、また《フェッチ・ランド》を多用する事から、ビートダウン・デッキでありながら初動が遅くなる可能性を抱えていました。
黒赤のコントロールはそんな相手のクリーチャーを除去しつつアドバンテージを得る、ビートダウンは序盤から攻勢をかける、というアプローチで上陸を克服したようです。

こうなってくると、今度は黒赤がメタ・ゲームの矢面に立つ番です。
黒赤はアラーラの断片で《荒廃稲妻》が登場した頃から有力なアーキタイプの1つでしたが、《器用な決闘者》を擁する白青コントロールの登場で、一時ほとんど姿を見られない期間がありました。
その白青デッキは、サイズに勝る上陸デッキの登場で姿を消していますが、何にせよ、黒赤は対策し得る事がすでに証明されている訳です。

このような不安定なメタ・ゲームの中で、プレイヤーがどのようなデッキをトーナメントに持ち込み、どのデッキが勝ち残っていったかは、下記の結果を見ていただくとして、全体的に非常に幅広いアーキタイプが使用されていたのは主催者としては喜ばしいものでした。
まさに、Wizards社が良く使う「健全な環境」そのものでしょう。

優勝は、arthfingさんの白赤緑上陸ビートダウン。
オーソドックスな形ですが、除去を最小限に留め、その分をクリーチャーの枚数に充て、1体でもクリーチャーを盤面に残そうとする意欲が見えます。
メタ・ゲームが複雑になる中、シンプルに上陸メカニズムを追及した事が優勝に繋がったのかもしれません。

準優勝は、kakoikuさんの白黒赤緑コントロール。
ETB能力持ちのクリーチャーを多数搭載し、盤面のアドバンテージで圧倒するデッキで、メインからの《捕らえられた陽光》が強烈に対黒赤を意識させてくれます。
自らが墓地を利用するため、相手の墓地のみを掃除する《ボジューカの沼》が光ります。
kakoikuさんご自身のブログにレポートが掲載されています。
http://81908.diarynote.jp/201004120416192335/

第3位は、M2panakinさんの黒赤緑アグロ・コントロール。
スタンダードのジャンド同様に、カード1枚毎の強さを追求したデッキで、クリーチャー・サイズやアドバンテージ獲得手段に優れる、安定したアーキタイプです。
やはり相手の除去に強い《グレイブディガー》が4枚。今大会を象徴する1枚かもしれません。

第4位は、Kaaneruさんの黒赤バーン。
前回大会で優勝したkaedama3koさんの黒赤バーンに改良を加えたバージョンです。
今回のメタ最前線のデッキを使用し、対策カードを潜り抜けての3-1の成績は、本物の強さでしょう。
20点を優に超えるダメージを叩き込みながら、度重なるライフ・ゲインの前に敗北された対kakoikuさん戦が印象的でした。

次回第26回大会はエルドラージ覚醒リリース・イベントの後になります。5月末くらいでしょうか。
エルドラージ覚醒は大型エキスパンションですので、環境も大幅に変わる事が予想されます。
エルドラージ滅殺デッキが登場するか、今から楽しみですね。


■優勝者インタビュー: arthfingさん
(今回、大会司会者が優勝してしまったため、参加者のbunmeiさんに急遽インタビュアーをお頼みしました。
快諾いただき、ありがとうございました)

bunmei
それでは、arthfingさん優勝おめでとうございます。
最初に、使用されたデッキとその動きを教えて下さい。

arthfing
デッキは白赤緑上陸ビートダウンでした。
上陸で強化されるクリーチャーや、その他のクリーチャーも《冒険者の装具》で強化して攻撃します。

bunmei
そのデッキを選んだ経緯や、メタ予測、サイドボーディング・プラン等について教えて下さい。

arthfing
前回大会では黒赤の除去コントロールが優勢だった訳ですが、今回はそれをメタって被覆クリーチャーを使うデッキがいるかなと思い、だったらそれら大半に勝てる上陸で行きました。
前々回優勝のbunmeiさんの上陸デッキを参考に、《クァーサルの群れ魔道士》を4枚にして、同系の《冒険者の装具》も意識しました。

bunmei
なるほど。除去単をメタって白青等の除去耐性の高いデッキが出てくるのではないか、と。

arthfing
はい。でも、白青ならタフネス3以上のクリーチャーを止めるのは苦手ですので、上陸はうってつけでした。

bunmei
ちなみに、前回最大勢力だった黒赤系に対しては何か対策はありましたか?

arthfing
上陸は、プレイング次第でダメージ除去を掻い潜る事も可能です。序盤の土地次第な部分がありますが……。

bunmei
確かに、土地の置き方や《フェッチ・ランド》の使い方で大分変わってきそうです。

arthfing
黒赤側が黒除去を使うと、火力が減りますので、例の白青がいた場合に無駄カードになってしまいます。
蓋を開ければ白青はいなかったのかな。
それでも、黒赤は《荒廃稲妻》とかアドバンテージ・カードがありますので、相性は悪いですね。
割り切りました。

bunmei
その様ですが、確かにメタゲーム上に白青の存在を意識すれば、上陸相手に確定除去として使える黒除去の採用は難しいですね。
では、今回の大会を通じて、印象に残っている対戦やプレイング、活躍したカードがあれば教えて下さい。

arthfing
やはり強かったのが《冒険者の装具》ですね。トップ・デッキで勝ったゲームもありました。

bunmei
上陸デッキの要ですね。

arthfing
気になったのが、今回は《グレイブディガー》を採用したデッキが非常に多かった事です。
サイドに3枚の《大祖始の遺産》が非常に大きかったですね。

bunmei
では最後に、今回のイベントの運営について、何かご意見があればお聞かせ下さい。

arthfing
今回はドロップの処理が発生し、初めての出来事だったので手間取ってしまい、皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。
また、自分の対戦が長引いた時にチャットに目を通せなかったので、色々見逃してしまったのが次回からの反省点です。
同じ今回運営のkakoikuさんとの決勝戦になってしまったので、こうしてインタビューしていただいているのも悪い事になってしまいました。
何か考えないといけません。

bunmei
いえ、僕はぜひやってみたかったというのがありましたので。
拙くて申し訳ないです。

arthfing
とんでもないです。どうもありがとうございました。

-
(大会閉会後のチャット)

arthfing
bunmeiさん、インタビュアーありがとうございました。

bunmei
いえいえ、こちらこそありがとうございました。
ついでと言っては何ですが、《グレイブディガー》と《コーの空漁師》関連のエンジンって、メジャーな感じなんでしょうか。
今回はジャンドの方にも《グレイブディガー》が採用されてて、《命取りの出家蜘蛛》と合わせてかなり強そうでした。

arthfing
私はkakoikuさんの大会レポートでそれを見ました。
白黒コントロールにもありましたっけか。

bunmei
僕もそれ見てデッキをパクりました。(笑)

kakoiku
発祥は多分、白黒コントロールです。
その後、ナヤ+黒でも採用されていますが、多分そのくらいじゃないでしょうか。

arthfing
《グレイブディガー》2枚でも無限エンジンですけど、《コーの空漁師》でもできるんですよね。

bunmei
なるほど。
コモン・スタンダードの今までの系譜から見ると、そういった《グレイブディガー》エンジン自体は昔からありましたか?

arthfing
《グレイブディガー》自体は昔から強かったですね。
一昔前は《熟考漂い》がありましたけど、最近はビートダウンが優勢で、ダメージ優先だったから外れていたのかな。
今回の第1メタが除去の黒赤でしたから、採用された方多かったみたいですね。

kakoiku
《グレイブディガー》だけでぐるぐるするのは今一つですけど、《聖域のガーゴイル》で同じ事をやるのはありますね。
やっぱり飛行クリーチャーが絡まないと、使い回しても有り難味がないのでしょう。

bunmei
なるほど、納得です。
僕はゼンディカーからコモン・スタンダードを始めたので、《グレイブディガー》エンジンがかなり悠長な事をしているなと、使ってみるまでは思っていたのですが、火力=除去が充実しているからこそ、という事ですね。

arthfing
そうですね。除去られるのが前提の環境なら、という事ですね。
黒赤緑なんかのアグロ・コントロールなら、上にも出てた《命取りの出家蜘蛛》と組み合わされると、使われる側としては非常に嫌です。

bunmei
僕もマッチ・アップしていただきましたが、ボコボコにされました。(笑)

-


■トップ4デッキ・リスト

 優勝 arthfingさん 白赤緑上陸ビートダウン

4 《冒険者の装具/Adventuring Gear》
4 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
4 《野生のナカティル/Wild Nacatl》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《板金鎧の土百足/Plated Geopede》
4 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
4 《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》
4 《放牧の林鹿/Grazing Gladehart》
2 《枝分かれの稲妻/Branching Bolt》

4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
4 《ナヤの全景/Naya Panorama》
1 《ジャンドの全景/Jund Panorama》
1 《バントの全景/Bant Panorama》
5 《森/Forest》
5 《山/Mountain》
2 《平地/Plains》

サイドボード

3 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
4 《噴出の稲妻/Burst Lightning》
4 《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》
4 《秘宝の破壊/Relic Crush》


 2位 kakoikuさん 白黒赤緑コントロール

4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《エルフの幻想家/Elvish Visionary》
4 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
4 《終止/Terminate》
2 《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》
4 《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》
1 《火荒の境界石/Firewild Borderpost》
4 《ロウクスの瞑黙者/Rhox Meditant》
4 《グレイブディガー/Gravedigger》
3 《捕らえられた陽光/Captured Sunlight》
4 《青ざめた出家蜘蛛/Pale Recluse》

2 《断ち割る尖塔/Rupture Spire》
4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
3 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
1 《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》
2 《平地/Plains》
2 《沼/Swamp》
2 《山/Mountain》
2 《森/Forest》

サイドボード

3 《影餌付け/Shadowfeed》
3 《疲弊の休息/Rest for the Weary》
3 《破滅の刃/Doom Blade》
4 《ヴァレロンの異国者/Valeron Outlander》
2 《秘宝の破壊/Relic Crush》


 第3位 M2panakinさん 黒赤緑アグロ・コントロール

4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《強迫/Duress》
4 《命取りの出家蜘蛛/Deadly Recluse》
4 《朽ちゆくヒル/Putrid Leech》
4 《終止/Terminate》
4 《国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger》
4 《荒廃稲妻/Blightning》
4 《グレイブディガー/Gravedigger》
4 《ロウクスの粗暴者/Rhox Brute》
3 《腐肉団/Carrion Thrash》

4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
2 《ジャンドの全景/Jund Panorama》
2 《カルニの庭/Khalni Garden》
2 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
7 《森/Forest》
4 《沼/Swamp》
2 《山/Mountain》

サイドボード

2 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
1 《強迫/Duress》
4 《ゴブリンの異国者/Goblin Outlander》
1 《精神腐敗/Mind Rot》
3 《枝分かれの稲妻/Branching Bolt》
4 (不明)


 第4位 Kaaneruさん 黒赤バーン

4 《噴出の稲妻/Burst Lightning》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《マグマのしぶき/Magma Spray》
3 《腐敗したゼンディコン/Corrupted Zendikon》
4 《焼尽の猛火/Searing Blaze》
1 《終止/Terminate》
4 《破壊者のゼンディコン/Crusher Zendikon》
3 《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》
4 《荒廃稲妻/Blightning》
4 《消しえる火/Quenchable Fire》
3 《尖塔の連射/Spire Barrage》

4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
14 《山/Mountain》
4 《沼/Swamp》

サイドボード

3 《水膨れ虫/Blister Beetle》
4 《破滅の刃/Doom Blade》
4 《地鳴りの揺るぎ/Seismic Shudder》
2 《終止/Terminate》
2 《破砕/Demolish》


 順位と使用デッキ・タイプ

5位 mwoさん 黒赤バーン
6位 bunmeiさん 白黒赤緑コントロール
7位 kaedama3koさん 白赤緑同盟者ビートダウン
8位 gulemio3さん 黒単コントロール
9位 satto25さん 白黒赤緑上陸ビートダウン
10位 Bigardenさん 青赤アグロ・コントロール
11位 oryzaeさん 青赤アグロ・コントロール


■謝辞

ご参加いただいた皆様。

賞品を提供してくださった皆様と、授与先。

arthfingさん → arthfingさん
《Volcanic Island》

bunmeiさん → kakoikuさん
ワールドウェイク・ブースター3つ

kaedama3koさん → M2panakinさん
ゼンディカー・ブースター2つ、ワールドウェイク・ブースター1つ

M2panakinさん → Kaaneruさん
《溶岩爪の辺境》、《霧深い雨林》プレミア版、チケット2つ

oryzaeさん → satto25さん
ワールドウェイク・ブースター2つ

kakoikuさん → gulemio3さん
ワールドウェイク・ブースター2つ

kakoikuさん → oryzaeさん
ワールドウェイク・ブースター1つ

gulemio3さん → kaedama3koさん
アラーラの断片ブロックブースター、チケット2つ

Kaaneruさん → bunmeiさん
ワールドウェイク・ブースター1つ

Bigardenさん → Bigardenさん
マジック2010ブースター1つ

satto25さん → mwoさん
マジック2010ブースター1つ


司会進行
arthfing

賞品管理
kakoiku

優勝者インタビュアー
bunmeiさん

資料作成
kakoiku、arthfing

スイス・ラウンド成績管理支援ツール
マジック・オンライン:ユーザ主催イベント運営マニュアル
マジック・サポート
http://www4.atpages.jp/kakoiku/index.php?lang=Japanese

コメント

いく
2010年4月13日1:09

司会進行お疲れ様でした&優勝おめでとうございます。

ナヤ上陸に負けたのはいったいこれで何回目なのか・・・。

arthfing
2010年4月13日11:28

こちらこそ、いくさんも賞品管理お疲れ様と、準優勝おめでとうございます。
運営側2人がこの成績なのは、ちょっと複雑ですが。

ナヤ上陸はストレートな強さがありますね。
マナ基盤が不安定な環境なのはナヤ上陸も同じですけど、第4ラウンドの3ゲーム目とか、土地を上手く引いた際の爆発力は相当なものでした。

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