9月4日(土)に行われた第29回The Darkトーナメントは、参加者7名によるコモン・スタンダード、スイス式4ラウンドの後、赤単ビートダウンを使用したkaedama3koさんの優勝で幕を閉じました。
kaedama3koさん、優勝おめでとうございます。


■大会概要

日時: 2010年9月4日(土)20:00~。
フォーマット: コモン・スタンダード。
トーナメント形式: スイス式4ラウンド。
マッチの構成: 2本先取制、持ち時間30分。


■環境解説

マジック2011環境2回目のThe Darkトーナメントです。
第28回では、参加者の大半がコントロール・デッキを選択するという非常に偏ったメタゲームを見せましたが、それもマジック2011で優秀なコントロール・カードが収録された事の証であり、逆に言うと、大会の時点でビートダウンはさほどの収穫を見出せなかったという事でもあります。

コントロール環境であった第28回大会ですが、コントロールという分類の中にも2つの潮流を確認する事ができます。

1つは、赤の火力を多く採用した、クリーチャー・コントロールに長けたコントロール・デッキです。
マジック2010で《稲妻》を獲得した赤は、コモン・スタンダードの除去色として第1党に駆け上がり、《稲妻》はクリーチャーをタフネス3とそれ以上を分ける、1つの指標ともなっていました。
マジック2011から、これまではなかったタフネス4の回答である《チャンドラの憤慨》を手に入れた事によって、クリーチャーを除去する事がそのまま相手ライフを攻める事に繋がる、一種のバーン・コントロールを実現しました。
アドバンテージを確保するために、青や黒を第2色にする事が多いです。

もう1つは、従来からコモン・スタンダードで存在感を示していた、《コーの空漁師》と《グレイブディガー》の無限エンジンを擁する白黒系コントロールです。
場に出た時に能力を誘発させるETB能力持ちクリーチャーを搭載する事によって、上記の2枚でそれらを使い回しながらアドバンテージを稼ぎ、勝利に向かいます。
相手の除去カードに対して強い耐性を持っており、長期戦に向いたコントロールの基本ともなっているデッキです。

ビートダウン不在の中、この2つのコントロール・デッキが激突した結果が第28回大会ですが、相性の差は一目瞭然で、メインから《孤独な宣教師》を採用して使い回した白黒コントロールのkakoikuさんが全勝優勝に輝きました。

そんなメタゲームの中の第29回大会です。
第28回大会の結果を受け、大会前にはこんな呟きが散見されました。
「どのデッキを使えば良いか分からない」

コントロール環境である事は周知の事実ですが、それを突くのがメタゲームです。
赤系コントロールはクリーチャー・デッキに対して無類の強さを誇りますが、白のライフ・ゲイン有する白黒系コントロールには分が悪いです。
白黒系コントロールは除去耐性が強い長期戦向けのデッキですが、相手の干渉をアドバンテージに変えるデッキで、軸をずらしたコンボ・デッキ、エルドラージ覚醒で登場した赤緑トークンを苦手としています。

赤緑トークンは、コンボ・デッキに分類される通り、軸をずらした勝ち手段によりクリーチャー・コントロールに強い一方、各役割の構成パーツを揃える時間が必要なため、ビートダウン、特にゼンディカー環境から最速を誇る上陸ビートダウンに為す術がありません。
ビートダウンが赤系コントロールに弱いのは言うまでもないでしょう。

そんなプレイヤーの思惑が交錯する第29回大会です。
この混沌としたメタゲームを読み切ったのはどのプレイヤーだったのでしょうか。


■大会結果

http://www4.atpages.jp/kakoiku/competition.php?lang=ja&id=850

20:00 開会式と大会説明。
20:08 第1ラウンド開始。
20:35 第2ラウンド開始。
21:08 第3ラウンド開始。
21:48 第4ラウンド開始。
22:20 順位発表、賞品授与。
23:07 閉会。


■主催者雑感

コントロール偏重だった前回大会ですが、今回はビートダウン5人、コントロール1人、コンボ1人と、一転してビートダウンが人気でした。
コントロールの隆盛でビートダウン対策が軽視されると読んだ方が多かった、という事ですね。

そんなビートダウンの海を泳ぎ切ったのは、kaedama3koさんの赤単ビートダウンです。
まさかの赤単。
コントロール環境で全体的にデッキが重く長期戦傾向になっていく中、色マナの捻出にタップイン・ランドや《境界石》を必要とせず、1マナ・クリーチャーから速攻する男の赤単です。
その戦略が功を奏し、対戦相手をテンポで圧倒、メタゲーム・クロックのリセットに成功しました。
kaedama3koさんご自身のブログにデッキのメモがあります。
http://80162.diarynote.jp/201009042319355176/
http://80162.diarynote.jp/201009052052201206/

2位はelugoさんの白緑ビートダウン。
《バントの信刃や《ナヤの静刃》、《クァーサルの群れ魔道士》を初めとしたアラーラ再誕の高スペック・クリーチャーを、《印章の祝福》や《巨森の蔦》でサポートする、昔ながらの良きビートダウンです。
赤系コントロールの不在を突き、ローテーションが迫るアラーラの断片ブロックの強さを証明してくれました。

3位はarthfingさんの白青黒コントロール。
今回唯一の純正コントロール・デッキです。
除去を《見栄え損ない》4枚に押さえつつ、ETB持ちカードを大量に投入して、対コントロール・デッキ戦に重点を置いたデッキ構成になっています。
3連勝で迎えた対kaedama3koさんの赤単ビートダウンの決勝戦は、その分テンポで遅れを取る事となり、オポネント・ポイント差でこの順位となりました。

4位はkakoikuさんの白黒赤上陸ビートダウン。
エルドラージ覚醒の《進化する未開地》と合わせて、合計10枚もの《フェッチ・ランド》で毎ターンの上陸を確保する、上陸ビートダウンです。
コントロール戦を見据える事で《荒廃稲妻》の黒を採用し、クリーチャーや《冒険者の装具》等の強化カードを極力減らしてバーン・デッキに近い構成になっています。

今回は、メタゲームの読みがそのまま順位に直結した大会となりました。
次回第30回大会は、どうもミラディンの傷跡発売後かなーという感じで、まだ決定ではないんですがそんな雰囲気です。
また開催日程が決まり次第こちらでお知らせしますので、次回もよろしくお願いします。


■優勝者インタビュー: kaedama3koさん

-
優勝おめでとうございます。
使用されたデッキを簡単にご説明お願いします。デッキの動きやキー・カード等。

kaedama3koさん
見ての通りの赤単で、1マナ・クリーチャーと《ドラゴンの餌》トークンを並べて強化して殴ります。
簡単です。(笑)

-
かなりのスピードでしたね。
土地もかなり絞られていたんじゃないでしょうか。

kaedama3koさん
22枚です。
環境が遅いなら行けるんじゃないかと思ったので、使ってみました。

-
なるほど。タップイン・ランド込みで22枚です。
土地3枚とかでもガンガン回ってましたもんね。

kaedama3koさん
練習では結構な確率で4~5ターン・キルできてたんで、行けるだろうと。
逆に5枚以上土地を引くと勝てないデッキなんです。

-
赤単は息切れとどうやって付き合うか、という所がありますね。
それでは、前大会はまさかのビートダウン不在でしたが、今回も同環境という事で、メタはどのようなものと予測されましたか?

kaedama3koさん
コントロールが多いのは予想していました。
でも、前回の《孤独な宣教師》の多さと、赤黒系の減少を見越して、《宣教師》の減少を予測しました。
メインはさほどいないだろう、と。
多色化でタップイン・ランドが多いのも容易に予測できたので、ならば速いデッキでいいんじゃない? という感じです。

-
なるほど、メタを読み切った感がありますね。流石です。
《宣教師》は4点ライフ・ゲインが嫌らしいですよね~。

kaedama3koさん
《宣教師》は覚悟していました。
elugoさんの《捕らえられた陽光》は予想外でした。(笑)

-
《捕らえられた陽光》ですか。これもエロいカードですよね。
では、今大会を通じて、印象に残っている対戦やプレイング等があれば、教えて下さい。

kaedama3koさん
kakoikuさんとの3ゲーム目と、arthfingさんとの2ゲーム目ですね。
kakoikuさんの時は負けたと思いました。

-
後者の方は拝見していましたが、とげが刺さりまくってましたね。

arthfing
《孤独な宣教師》使いましたが、《ヴィティアのとげ刺し》に封殺されました。

kaedama3koさん
arthfingさんのは1ゲーム目でした。
最後トップ・デッキで勝った。(笑)

arthfing
koichiさんの「C’mon top deck !」で《稲妻》。
1ターン差でした。

kaedama3koさん
引けなきゃ返しで負けてましたからね。
それで2ゲーム目に勢いが出ました。

-
拝見しながら「C’mon top deck !」っていつの間にか叫んでました。(笑)

kaedama3koさん
koichiさんのお陰です。(笑)

arthfing
そうだったのか。

-
(笑)
最後に、The Darkトーナメントの運営方面について、何かご意見があればお聞かせ下さい。

kaedama3koさん
ちょっと考えていたんですけど、次回辺りは賞品なしでやってみませんか?

-
おや、賞品なしですか。
運営人の方々、どうでしょう?

kakoiku
集客面でどうかなぁ……。

kaedama3koさん
最近、賞品出すのが参加費みたいな感じで、やってみたいなぁと思ってる人に対して敷居が高いんじゃないか、と思って。

arthfing
昔に比べて私が意図的に高額賞品にしている感はあります。
昔はブースター3つくらいが優勝賞品でしたが、今回もそれくらい提供いただいている方もいらっしゃいます。
しかし、なくすとなると、前例がないですね。

-
うーん、皆さん良くしていただいてますからね。
自分だけ提供するものがないとなると、次から参加し難い、というのはあるかもしれませんね……。
私個人としましては、提供いただける事は大変ありがたいですが、デッキだけ持ってきたよ~、みたいな感じでも嬉しいのですが。

kakoiku
新規顧客の開拓と、安定顧客の開拓と、どちらを優先するかという事なのかな。

kaedama3koさん
Magic Onlineを始めた人が、資産ないけど気軽に遊べるのがコモン・スタンダードだと思うので、そういう人が他の方が高額賞品出しているのを見ると、尻込みするんじゃないかと思うんですよね。
ここ何回か来てくれる人たちは、賞品がなくても来られると思うんですが、いかがでしょう?

arthfing
賞品と言うより参加費ですね。言い方が難しい。
競技マジックよりもカジュアルの方向ですか。

kaedama3koさん
賞品がないとトーナメントの質が落ちるかと言えば、そうではないと思いますが、どうでしょう。

-
例えば、優勝者に運営側からとか、その程度でしたらどうでしょう?

kakoiku
賞品を出して下さいとは一度も言った事はないんですが、「賞品を出さないで下さい」とはっきり言わないと、事実上出して下さいと言ってるのと同じですね。

kaedama3koさん
皆出してるのに自分だけ出さないのでは……、って気がしますよね。

kakoiku
じゃあ、クラン・メンバー以外は賞品提供禁止にしてみますか。
価格で線を引いても良いけど、調べるのが面倒ですし。

-
クランがスポンサーになるという形ですかね。
クラン・メンバーにも強制ではなく、という形でしたら良いと思います。

arthfing
加減し難いので、そこら辺が妥当ですか。
トーナメントの形を取る限り、競技に傾くのは仕方ないので、賞品が一番煽りに使えるんですよね。

kakoiku
一応、クラン・メンバーに限らず、賞品を出せと強制した事はないです。
勘違いされてる可能性もなきにしもあらずですが。

-
賞品があった方が大会自体の質も上がるとは思いますが、逆にカジュアルさを失わせる部分でもありますよね。
運営側に余裕があれば、「ガチ部門」と「ゆる部門」てな感じでやるのも面白いと思うんですが、如何せん運営の人数が……。

arthfing
あー、競技vsカジュアル論になってしまうな。
とりあえず、大会始まって賞品募集し出すと、知らない初参加者がビビる。

-
そうですね。
その辺りは一旦〆てから、改めて話し合いましょう。

kakoiku
この話は最終的にはキャプテンRag Manさんに決めていただく事になりますけど、大体の当たりを付けてからお伺いしたいです。
少なくとも、運営担当者の意見はまとめておきたい。

arthfing
こういう話があったと、このチャットをまとめてブログに転載しましょう。

-
では、一旦〆ます。
それでは、これをもちまして第29回The Darkトーナメントの閉会をさせていただきます。


■トップ4デッキ・リスト

優勝 kaedama3koさん 赤単ビートダウン

4 《ゴブリンの付け火屋/Goblin Arsonist》
4 《ゴブリンの奇襲隊/Goblin Bushwhacker》
4 《怒り狂うゴブリン/Raging Goblin》
4 《走り回るトカゲ/Skitter of Lizards》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《ゴブリンの近道抜け/Goblin Shortcutter》
4 《ドラゴンの餌/Dragon Fodder》
2 《焼尽の猛火/Searing Blaze》
3 《電弧の走り手/Arc Runner》
3 《ラッパの一吹き/Trumpet Blast》
2 《よろめきショック/Staggershock》


2 《くすぶる尖塔/Smoldering Spires》
4 《ぐらつく峰/Teetering Peaks》
16 《山/Mountain》

サイドボード

4 《炎の斬りつけ/Flame Slash》
4 《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》
2 《躁の蛮人/Manic Vandal》
2 《反逆の行動/Act of Treason》
3 《炎の覆い/Wrap in Flames》


2位 elugoさん 白緑ビートダウン

4 《ハイエナの陰影/Hyena Umbra》
4 《巨森の蔦/Vines of Vastwood》
4 《アクラサの従者/Akrasan Squire》
4 《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
2 《平和な心/Pacifism》
4 《ナヤの静刃/Naya Hushblade》
4 《バントの信刃/Bant Sureblade》
2 《結晶化/Crystallization》
4 《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》
2 《印章の祝福/Sigil Blessing》
4 《聖なる狼/Sacred Wolf》
4 《荒原の境界石/Wildfield Borderpost》

2 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
8 《森/Forest》
8 《平地/Plains》

サイドボード

4 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
4 《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid》
3 《忘却の輪/Oblivion Ring》
4 《捕らえられた陽光/Captured Sunlight》


第3位 arthfingさん 白青黒コントロール

4 《見栄え損ない/Disfigure》
4 《予言のプリズム/Prophetic Prism》
4 《広がりゆく海/Spreading Seas》
4 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《戦隊の鷹/Squadron Hawk》
4 《海門の神官/Sea Gate Oracle》
2 《暁輝きの発動者/Dawnglare Invoker》
3 《コーの奉納者/Kor Sanctifiers》
4 《死者のインプ/Cadaver Imp》
4 《リリアナの死霊/Liliana’s Specter》

3 《進化する未開地/Evolving Wilds》
3 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
3 《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
6 《沼/Swamp》
5 《平地/Plains》
3 《島/Island》

サイドボード

3 《破滅の刃/Doom Blade》
4 《孤独な宣教師/Lone Missionary》
4 《否認/Negate》
4 《減縮/Shrivel》


第4位 kakoikuさん 白黒赤上陸ビートダウン

4 《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》
4 《噴出の稲妻/Burst Lightning》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
4 《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
4 《板金鎧の土百足/Plated Geopede》
4 《ゼクター祭殿の探検/Zektar Shrine Expedition》
4 《焼尽の猛火/Searing Blaze》
4 《よろめきショック/Staggershock》
4 《荒廃稲妻/Blightning》

4 《進化する未開地/Evolving Wilds》
4 《広漠なる変幻地/Terramorphic Expanse》
1 《グリクシスの全景/Grixis Panorama》
1 《ナヤの全景/Naya Panorama》
7 《山/Mountain》
6 《平地/Plains》
1 《沼/Swamp》

サイドボード

4 《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
4 《孤独な宣教師/Lone Missionary》
3 《精神腐敗/Mind Rot》
4 《ヴィティアのとげ刺し/Vithian Stinger》


順位と使用デッキ・タイプ

5位 atab0uさん 青赤《窯の悪鬼》
6位 M2panakinさん 青黒ビートダウン
7位 korhakuさん 黒赤緑トークン


■謝辞

ご参加いただいた皆様。

賞品を提供してくださった皆様と、授与先。

arthfingさん → kaedama3koさん
《タルモゴイフ》

atab0uさん → elugoさん
《湿地の干潟》《霧深い雨林》《沸騰する小湖》

kaedama3koさん → kakoikuさん
《Bazaar of Baghdad》プレミア版

kakoikuさん → arthfingさん
6チケット

korhakuさん → M2panakinさん
マジック2011ブースター

elugoさん → korhakuさん
《審判の日》プレミア版

M2panakinさん → atab0uさん
《分裂するスライム》全面イラスト版

Rag Manさん
《霜のタイタン》

koichiさん
《地獄の雷》


司会進行
koichi

賞品管理
arthfing

資料作成
arthfing

スイス・ラウンド成績管理支援ツール
マジック・オンライン:ユーザ主催イベント運営マニュアル
マジック・サポート
http://www4.atpages.jp/kakoiku/index.php?lang=Japanese

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索